2024年土用の丑の日 小売店の販促課題と対策


夏の土用の丑の日は、日本の夏の風物詩の一つとして知られ、うなぎを食べる習慣から、小売店としても売りの山場を作れる大きな催事です。2024年は二の丑まであることから、各社販売強化が予想されますが、昨今の物価高の影響含め、いくつか課題を抱えている状況でもあります。そこで今回は、小売店が抱えている課題を改めて抽出し、それに対する対応策をご紹介していきます。

小売店が抱える土用の丑の日の課題

うなぎ価格の高騰

小売店にとって一番の悩みの種は、やはり年々続くうなぎ価格の高騰でしょう。総務省の小売物価統計調査によると、うなぎ蒲焼100gの価格は20年前の2004年では500円台だったのに対し、2023年8月には1,520円と約2.6倍まで上昇しています。その為、直近では消費者の節約志向の高まりもあり、価格を要因としたうなぎ離れの影響も少なくありません。昨今の価格高騰の主な要因は、漁獲量の減少と飼料・燃料価格の高騰となりますが、依然として続く相場高の状況を踏まえると2024年の夏も価格高騰の可能性は高く、小売店としては何かしらの対策が必要であることは明白です。

うなぎ専門店チェーンの台頭

小売店にとって、ここ最近無視できない存在になってきているのが、うなぎ専門店チェーンの台頭でしょう。従来のうなぎ専門店と言えば、国産うなぎを使った本格的なうなぎが食べられる老舗専門店のイメージがあり、ファミリー層をターゲットに内食需要を狙う小売店とは、ある種の住み分けができていました。しかし、最近急速に店舗数を増やしてきているいくつかのうなぎ専門店チェーンにおいては、昔に比べて味・質が向上している中国産のうなぎを使い、比較的安価でうな重を提供する形態が多く、価格に大差がないのであれば、専門店に食べに行こうと考える消費者も増えていくことが推測できます。そのため、近隣にそういったうなぎ専門店チェーンが存在している小売店舗においては、競合として認識し、対策を考えていく必要があるでしょう。

食品ロスの問題

ここ最近、SDG’Sの観点から企業としても対策をとることが多くなっている食品ロスの問題もあります。特にうなぎに関しては、気温により売上点数が大きく変わってくる商材でもあり、事前の売上・廃棄数予測も難しく、通常商材より仕入価格も大きいこともあり、諸々の調整がしづらい商材です。その為、仕入数の調整だけでなく、少しでも廃棄数を削減するための売り方・対策が必要になります。

小売店におけるおすすめの対策

売場づくりと予約販売の強化

・特別感を演出する売場づくり

土用の丑の日の主役となる「うなぎ」および関連商材の販売、競合対策としても、やはりしっかりと売場を作ることが大切です。具体的には「うなぎ」「蒲焼き」を想起させるシズルやイラスト、伝統感や特別感を演出できる筆文字を使ったデザインや高級感のあるデザインの告知物、消費者の目を引く提灯やうなぎのエアーPOPなどを活用した売場づくりです。また、よりリアルにイメージが伝わる蒲焼きのシズル動画や、食品サンプルを売場に展示することも効果的でしょう。

・予約販売の強化

前述した通り、土用の丑の日における「うなぎ」商材は、丑の日付近の気温が低いと売れ行きの伸びが悪くなる傾向が高い商材です。そのため、天候・気温に左右されず一定の売上確保に繋がる予約販売は効果的です。また、丑の日当日近辺の購入層に対する商品仕入数においても、予約販売数を踏まえた上で調整することができるため、廃棄リスクの削減、食品ロス対策にも繋がります。より効果的に予約販売を実施するためのポイントは、店頭でしっかり告知することはもちろん、店頭だけでなくWEB上で予約受付できるシステム整備や、予約割引・特典の用意などがあります。店舗だけでなく、手間削減・特典付与などの消費者メリットを創出することが、顧客の確保、及び競合対策にも繋がります。

国産と中国産の売り分け

昨今のうなぎ専門店チェーンの伸長の要因のひとつとして、国産うなぎよりも低コストで仕入れられる中国産うなぎの質の向上が挙げられます。一昔前までは、中国産は「食感がゴムっぽい」「脂っぽい」など言われ、小売店でも「国産」をプッシュすることはあれど、「中国産」を押し出す機会は少なかったと思います。しかし、物価高の現在では、質も改善され低価格な中国産うなぎのニーズは確実に増えている為、国産・中国産どちらもしっかりと売り分けすることが、全体の売上UPに繋がります。

・国産・中国産 ターゲット別メリット訴求

消費者が商品を選ぶポイントは様々です。「こだわりがあり国産しか食べない人」「せっかくなら贅沢に国産を食べたい人」「中国産の質・安全性に疑問があり国産を食べる人」「安さから中国産を食べる人」「シンプルに味に納得して中国産を食べる人」など。そのため、各々が求めるポイントを告知物でしっかりと訴求してあげることが重要です。また、店舗スタッフが事前に試食した上で、リアルな感想をPOPにするのも説得力のUPに繋がるのでおすすめです。

・試食販売

例年国産うなぎを購入していたものの物価高の影響で「うなぎの購入を断念する人」、もしくは「どうせここまで高いなら専門店に食べに行こうとする人」も少なからず存在します。お店側としては、そういった消費者へは価格の安い中国産うなぎをおすすめしたいところですが、元々味や安全性の観点から、中国産への忌避感を感じて国産うなぎを購入していた方が多いのも事実。そこで効果的なアプローチが試食販売です。一昔前よりも質・味共に改善された中国産うなぎを、実際に口にしてもらうことが、納得して購入してもらうことの一番の近道です。可能であれば、国産・中国産ともに食べ比べができる環境を整えることがベストでしょう。

土用の丑の日おすすめ販促ツール



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