節分といえば、
「鬼は外~♪ 福は内~♪」という掛け声とともに豆を撒くのが一般的ですよね。
掃除が大変なので、家で行う風習は廃れつつあり、
手軽に節分を楽しめる恵方巻きにシフトしている感はありますが、
筆者も小さなころは実家のリビングで豆まきをした記憶があります。
そこで今回は、「鬼」に注目をしてみました。
「鬼」って何? 「鬼」ってそもそもどんな存在?
という疑問にフォーカスし解説をしてみます。
1.鬼の意味・由来は?
鬼という言葉がどこから生まれたのか、その意味を探るため、
オンライン国語辞書を引いてみたところ、以下内容がヒットしました。
《「おん(隠)」の音変化で、隠れて見えないものの意とも》
①[名]
- 仏教、陰陽道(おんようどう)に基づく想像上の怪物。人間の形をして、頭には角を生やし、口は横に裂けて鋭い牙(きば)をもち、裸で腰にトラの皮のふんどしを締める。性質は荒く、手に金棒を握る。地獄には赤鬼・青鬼が住むという。
- 《1のような人の意から》
- 勇猛な人。「鬼の弁慶」
- 冷酷で無慈悲な人。「渡る世間に鬼はない」「心を鬼にする」
- 借金取り。債鬼。
- あるひとつの事に精魂を傾ける人。「仕事の鬼」「土俵の鬼」
- 鬼ごっこや隠れんぼうで、人を捕まえる役。「鬼さん、こちら」
- 紋所の名。鬼の形をかたどったもの。
- 目に見えない、超自然の存在。
- 死人の霊魂。精霊。「異域の鬼となる」
人にたたりをする化け物。もののけ。
「南殿(なんでん)の―の、なにがしの大臣(おとど)脅かしけるたとひ」〈源・夕顔〉- 飲食物の毒味役。→鬼食(おにく)い →鬼飲(おにの)み
「鬼一口の毒の酒、是より毒の試みを―とは名付けそめつらん」〈浄・枕言葉〉出典・引用:goo国語辞書 デジタル大辞泉(小学館)
ここで注目したいのが、①-1の仏教、陰陽道(おんようどう)という言葉です。
つまり、節分や昔話、漫画や創作に出てくる「鬼」のイメージは仏教の「鬼」が由来となっています。
2.仏教の鬼はどんな鬼?
私たちがイメージする「鬼」が仏教由来と分かったところで、
仏教の鬼ってなに?と疑問に思いますよね。
仏教というと、どうしても仏像やお坊さん、お寺のイメージが強く、
「鬼」と言われても中々ピンと来ないと思いますが、仏教では鬼は結構出てくるのです。
以下に仏教に出てくる鬼の中で有名なものをピックアップしてみました。
1.餓鬼道に生まれた鬼(餓鬼)
名前の通り、常に飢えに苦しんでおり、食べ物と水を手にしても火となってしまうため、決して満たされることがない鬼です。
転じて、現在ではよく食べることから子供を貶した表現で言う言葉にもなっています。
2.地獄の獄卒
仏教では、生前悪事を働いた人間が亡者として地獄に落ちるという教えがあります。
そこで地獄の獄卒である鬼たちが、亡者を拷問し苦しみを味あわせて罪を償わせます。
この拷問は刑期が終わり、転生するまで続くと言われており、生前の罪によっては数百年以上の呵責を受けることになります。
3.仏教の守護神 阿修羅
三面六臂の造形をした仏教の守護神です。
仏教では、常に闘争心を抱く戦いの神様として知られています。
現在では、男女間の言い争いの場を「修羅場」と呼びますが、元もとの語源は阿修羅と帝釈天が血みどろの争いを繰り広げた場所を指しています。
このように仏教では、「鬼」という存在が教えの中で多く出てきており、「悪」として描かれる場合が多いのです。
この仏教の鬼の存在が伝奇や故事、昔話などで広く扱われるようになり、
現在の「鬼」のイメージを形成していったと考えます。
特に「桃太郎」などで出てくる「鬼」は2番の「地獄の獄卒」を強く表現しており、
鬼といわれると角が生えた人型で金棒を振り回し、力強く粗暴であるという印象が思い浮かぶのでしょう。
3.じゃあ節分の鬼は?
元々、節分の豆まきの由来は飛鳥時代からの「追儺」と呼ばれる宮中行事だと言われております。
鬼を払う役人が矛と盾を持ち、貴族たちがそれに従い、鬼を追いかけまわす行事です。
元々は中国の行事であり、疫鬼という疫病をもたらす鬼を魔除けの力がある穀物で、追い払うというものです。
平安時代になり、現在の節分の形である「鬼を豆まきで追い払う」という催しに変化したのですが、
仏教では「鬼は煩悩と呼ばれる人の欲望や悪い心に住み、それが災いとなる」と考えられていることから、広く寺院で催事として執り行われるようになりました。
そうして、江戸時代になると庶民たちの間で仏教が広まり、
節分の催しが定着していったとされています。
つまり、節分の鬼は「災いを防ぐために、鬼が住む煩悩を追い払う」というところから、
分かりやすく鬼を追い払い、福を内に入れるという形に変化していったと考えれます。
最後に
いかがでしょうか。
やはり鬼がいてこその節分になると思いますので、節分では豆を投げるだけではなく、
鬼役となって逃げるのも楽しいのではないでしょうか。
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